廃滓管理

  • シェア

廃滓(またはスラリー)は、鉱石から鉱物・金属を取り出した後の不要成分です。その大部分は泥状の物質です。

選鉱過程で出る廃滓は通常、ポンプを使って地表にくみ上げられ、廃滓ダムと呼ばれる堰で固めた設備に保管されます。その規模は水泳用プール程度のものから、1,000ヘクタールを超えるものまで様々です。廃滓が徐々に脱水して固化し乾燥すると、草やその他の植物を植えて環境を安定化させます。このプロセスは跡地復旧と呼ばれます。

廃滓に含まれる水は、鉱山にて再利用する、または地域の排水システムへの廃棄前に有害物質を除去する処理を施し、環境汚染や周辺コミュニティに対する安全衛生リスクを発生させないようにします。

廃滓の適切な管理を怠ると、環境と人間の安全衛生に悪影響を及ぼします。廃液や塵からの汚染が人間や動植物に害を加える恐れがあるためです。この悪影響は、廃滓保管設備が損壊すれば、さらに甚大となります。廃滓ダムが決壊すれば、周辺環境に深刻なダメージを与え、人命が失われることもあります。

閉山と閉山後措置 

廃滓の管理は、閉山後でも鉱山会社の責任であり、厳格な規制の対象となります。したがって廃滓管理は操業のライフサイクル全体にわたって、つまり開発調査段階から閉山・閉山後措置にいたるまで、効果的に実施する必要があります。

閉山後措置の種類は、廃滓の性質により大きく異なります。廃滓に有害物質が含まれていなければ、廃滓保管設備から水を排出し、物理的安定性を保ちます。そのうえで形態を整えて覆土し植生します。しかし有害物資が含まれている場合は、廃滓保管設備の物理的安定性、化学的安定性、事後の土地利用を保護するために、より長期的な対策が必要です。

重要制御の管理

鉱業・金属業は死亡事故や壊滅的事故の撲滅に尽力しています。したがって廃滓保管設備の適正な管理は、鉱山会社の事業およびリスク管理戦略の不可欠の部分を構成します。

重要制御管理は、発生の潜在性は低いが影響は甚大である事象の管理手法であり、そこには廃滓貯蔵設備の決壊も含まれます。詳しくは、 重要制御の管理をご覧ください。

廃滓管理に関するICMMのコミットメント

カナダのマウント・ポーリー(2014年)、ブラジルのサマルコ(2015年)で起きた廃滓ダムの決壊事故が示すとおり、リスク管理の軽視は許されません。 

ICMMは廃滓保管設備管理についてのレビューを2016年に実施し、廃滓ダムの安全性を維持する最善の方法について、グローバルな視点から検討を行いました。レビューの結果、既存の技術・管理手順をより効果的に適用するために、これまで以上にガバナンスを重視する必要があることが分かりました。 

ICMMはポジションステートメントをまとめ、企業CEOの徹底したコミットメントこそが鉱滓ダムの安全性対策として最も有効であることを明らかにしました。2016年12月に発表されたこのポジションステートメントにもとづき、ICMM会員は、管理とガバナンスの6つの重要要素を導入し、廃滓ダム決壊リスクを最小化することが義務付けられています。

ICMMがレビュープロセスの一環としてまとめたレビュー報告書は、ICMM会員全体の地表廃滓管理に重点をおき、既存のガイドラインとガバナンスのレビューも行いました。